防災教育学の新機軸 まなび合いのアクションリサーチ

著書 防災教育学の新機軸 まなび合いのアクションリサーチ
著作者 近藤 誠司
発行 2022/11/21
価格 3,520円(税込)
出版社 関西大学出版部 ISBN: 978-4-335-55206-9
内容紹介 災害が頻発する現代社会において、防災教育の重要性が指摘されて久しい。その要請に応えることは確かに急務である。しかし、すでに現場には混乱が生じている。声高に「生きる力」を叫ぶ教育現場では、ノウハウやハウツー、サバイバビリティを効率的に教え込もうとする筋肉質の防災、脅しの防災が散見される。その一方で、防災を楽しく口触り良く伝えようとするがあまり、生命の死を等閑視して、自然を畏怖する謙虚な姿勢さえも看過したソフトな防災、劣化版の防災も跋扈しているようにみえる。本書では、このような両極を斥け、弁証法的に解決策を探索していく。そこでは、「まなび合い」の構えを基軸に据えた、いのちをまなざす防災教育学の彫琢が試みられる。
目次 序章 いのちの光粒子 1 いのちに対するまなざし
2 北風と太陽の弁証法
3 四次元のまなび合い
4 本書の構成

第1章 防災教育学の立脚点 1 倫理の虚構性
2 防災教育の当事者性
3 防災教育の偶有性
4 防災教育の余剰的同一性
5 防災教育学のポテンシャリティ

第2章 防災教育のアクションリサーチ 1 ともにコトをなすこと
2 校内防災放送プロジェクト
3 プロジェクトの直接的なインパクト
(1) 高学年児童の防災関心度の変化
(2) コンテンツ別の評価とデータの信頼性
(3) マンネリズムという壁に関して
(4) アクションによる影響の残存具合
(5) コロナ禍の影響をフィールド内で確かめる
4 実存的な意味におけるインパクト
5 学校現場へのインプリケーション

第3章 インクルージョンとオープンネス 1 「こども梧陵ガイド」プロジェクト
(1) 二次元、三次元、そして四次元へ
(2) “梧陵さん”を通したまなび合い
(3) 実践の直接的効果と波及的効果
(4) 効果の残存具合
(5) 四次元のまなび合いに向けて
2 国際理解教育とのリンク
(1) ホアマイの教訓
(2) ダイバーちゃんとぼうさいぶらり旅
3 食物アレルギー教育とのリンク
(1) “たまちゃん”の挑戦
(2) ひとまずの成果
4 オープン・プラットフォームのポテンシャリティ
(1) 教材動画のプラットフォーム
(2) 実践のインパクト
(3) 意図せざるインパクト
(4) 四次元の感染と連帯

第4章 教育効果の測定に関するチャレンジ 1 フォトボイス法による実践のバックチェック
2 防災川柳のアナリシス
3 CREDO 〜言葉のアクションリサーチ〜

第5章 防災を生きる 1 災害ボランティアからのまなび
(1) 災害ボランティアという経験
(2) IVUSA
(3) 質問紙調査の結果と分析
(4) 人生のなかの防災
2 フィールドワークからのまなび
(1) フィールドワークという経験
(2) フィールドワークのインパクト
3 防災活動からのまなび
(1) 若手の防災活動推進者の心的構造分析
(2) 生き様をまなぶ
終章 愛のかたち 〜試論 BACEV+L モデル〜
あとがき
初出一覧
索引