学会設立趣旨

 阪神・淡路大震災(1995)以降、様々な災害が繰り返し発生し、防災教育への期待は年々高まっています。
文部科学省が新しい学習指導要領で自然災害や安全に関する指導項目を増やし、あわせて「防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業」を推進して力を入れています。全国で研究指定校が優れた実践を展開していますが、これで十分だとは言い切れません。都道府県教育委員会も独自の推進事業を進めてはいますが、地域事情もあって実践には温度差があります。何より研究指定校以外の学校が実施をするかしないかはほぼ学校に任されており、災害大国日本の防災教育としては心許ない感も否めません。
 阪神・淡路大震災から5年を経過したころから、兵庫県の震災・学校支援チームEARTHの発足(2000)、兵庫県立舞子高等学校環境防災科のスタート(2002)、人と防災未来センターの開館(2002)など、災害体験の継承・発信、防災教育の推進に関わる組織が発足しました。また、「防災教育チャレンジプラン」や「防災未来賞ぼうさい甲子園」などの全国レベルの支援、顕彰制度が始まったのもこの頃です。
 東日本大震災(2011)以降も文部科学省の「東日本大震災を受けた防災教育・防災管理等に関する有識者会議」の報告やその後の各地の災害などがあって、防災教育への関心度は高まってきています。
 このような支援は実践の積み上げや実践校の広がりに大きく貢献してきましたが、いまだにすべての学校が防災教育をとりくむまでには至っていません。熱心な個人、学校、地方教育行政の努力で防災教育を継続的に実施している学校がある一方、年に1〜2回の避難訓練の実施のみの学校が多いのが実態です。
 近年、語り部や防災士、専門家といった外部の人的資源を活用して防災教育を行なっている学校が増えてきました。このような外部資源の活用は、専門家からの正確な知識や技能の伝達、災害体験の継承という面で評価できますが、学校から外部への「丸投げ」になってしまい、教員に防災教育実践の技量が育たないデメリットも指摘されています。

学校教育だけではなく地域の自主防災組織や子ども放課後支援、NPOなとも様々な場面で防災教育を進めてきていますが、まだ防災教育推進の動きが日本全国に広がっているとは言えません。
 このように防災教育は、その必要性は広く認識され、先進的な実践が積み込みあげられてはいますが、学校においては実施時間(どの時間を使うか)、実施内容・方法の明確化(何をどう教えるか)、実施主体(教職員か外部支援者か)の課題があり、地域においても担い手不足、「我ごと意識」の欠如から、その拡がりに課題があります。また、マンネリ化した訓練の繰り返しやあやふやな先進事例の模倣も見られ、正確さに疑問が残る実践も残念ながら少なからずあります。
このような状況の中、防災教育のこれまでの実践の整理と評価、さらなる質的向上と量的拡がり、学校教育への位置づけ、大学の教職教育における防災・安全教育カリキュラムの研究、地域での継続的とりくみ支援などを追求するために「防災教育学会」を発足させ、実践・研究を進めたいと考えています。